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  電池の常識を覆す固体電解質を用いて
         薄膜状のリチウム二次電池を作製
   
 
 
 

公立大学法人 大阪府立大学 大学院
工学研究科 教授
工学博士 辰巳砂 昌弘

 


固体電解質材料の開発に取り組む辰巳砂教授に聞く!


■研究テーマ3で開発している電池は、私たちが日常生活で使っているものと、どこが異なるのですか?

次世代シートデバイスの電源として使用するためには、小型で薄膜状でなければなりません。また、従来の二次電池は有機電解液を用いることから液もれしたり、発火等の可能性があり、安全性の面で課題が残っています。そこで私が取り組んでいるのは、ガラスやガラスセラミックなど完全な無機の固体電解質を用いて、薄膜状のリチウム二次電池を作製するための研究です。


■固体電解質を使うメリットは、どういうことがあるのですか?

固体電解質は燃えにくく液もれもしないため、安全性の面で優れており、心臓のペースメーカーなど体内で使う医療機器などにも応用することができます。また、液体の中ではプラスとマイナス両方のイオンが移動していますが、固体電解質の場合はプラスのイオンだけが動くため、無駄な動きによる副反応などが起こりません。




■開発にあたって苦労されている点はどんなところですか?

私は約20年、固体電解質の研究をしてきましたが、難しい点は固体の電極との接合です。固体と液体の間にはスムーズな界面ができますが、固体同士ではなかなかうまく接合させることができません。そこが、研究の大きなポイントとなっています。固体の表面が接している面は、ナノオーダーの世界です。そこで本事業では、ナノの膜を用いて界面を制御していこうと考えています。また、電池の体積が少なくなるということは、電気をためる容量が小さくなるということ。つまり、あっという間に電気がなくなってしまいます。かといって体積を大きくするために厚くすると、流れる電流量が少なくなってしまいます。こうした問題も、ナノサイズの電極を多数用いることで解決できるのではないかと考えています。

この研究の魅力を教えてください。

電池は古くからあり、形が固定化されていますよね。みなさん、電池とはこんなものだと思っていませんか?この研究は、そうした固定概念を覆すものです。例えば、電子を用いたエレクトロニクスの世界では、20世紀半ばにトランジスタが発明され、真空管から固体へ転換したことで急速に発展してきました。同じように、従来液体を用いてきたイオンの分野でも、すべて固体にするというのが、私たちの夢。
現在は要素技術として開発していますが、将来は電力貯蔵やハイブリッドカー、医療機器などへの応用が考えられます。私が生きている間に、そういったものを世の中に出せるようにしたいと思っています。

 
   
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